ごく平凡な主婦が編集者・ライターになるまでの道のり

編集&ライターのこと

こんにちは! 編集ライターのやまもとようこ(@yokoyamamoto_wtです。

編集者やライターは、「なんだか難しそう」「私には無縁の世界」と思われがちな職業かもしれません。しかし、意外にもその門戸は広く開かれているのをご存知でしょうか。かくいう私も未経験からスタートし、現在では紙・Webの両媒体で執筆するまでになりました。

今回は、どこにでもいる平凡な主婦だった私が、どのようにして編集者・ライターになったのか。その道のりについてご紹介しますね!

編集者・ライターへの静かなる序章

人材総合サービス、情報誌、Webサービスなどを活用したマッチングサービスを行う企業に8年ほど勤めていた私。住宅部門の企画室というところで、事業計画のための資料を作成していました。

業務量は膨大で、ひたすら数字と向き合う日々。終電を逃すこともたびたびでしたが、周囲の人にも恵まれ楽しく働いていました。

しかし、「これは本当に好きな仕事なのか」という疑問が次第に脳裏をよぎるようになります。Webデザインスクールに通ったり、英語翻訳の勉強をしたり……。今考えると、自分の可能性を求めては、あれこれ手を出していました。

やまもと
やまもと

今考えると、かなり迷走してたな……

途中で結婚し、体調を崩したため出産前に退職。続いていた迷走もいったん休止です。それから約4年間は専業主婦でしたが、次男出産をきっかけに、再び会復帰という名のやりたいこと探しをすることになりました。

きっかけは、誰もチェックしてくれない社外報の作成だった

復帰後いくつか会社を渡り歩きました。転機となったのは、外壁塗装とリフォームを行う家族経営の会社で働き始めたことです。

配属先は営業部。現地調査や見積もり作成に追われる営業さんのサポートをするのが私の役割でした。営業サポートは私一人です。

営業に関することはなんでも私に回ってきます。ただでさえ忙しく時間が足りない中、ひたすら手こずった業務がありました。それが、「社外報」の作成です。

一度でも施工をしたお客様には、会社や住宅関連のニュースを盛り込んだ社外報を送付します。発行は3カ月に一度。掲載内容や写真の選定、文章作成はすべて私の担当です。デザイナーさんに発注し、上がってきた初校を社長や部長に見せますが……。

社長
社長

わからないからやっておいて

最初から最後までノーチェック。全部丸投げされてしまいます。衝撃でした。社外報を作るなんて初めてだし、わからないのは私も一緒。いいのか悪いのか判断できないまま、社外報を完成させなければならなかったのです。

ライター・エディター養成講座との出合い

それでも、きっちりとやって来る発行日。周りの社員もみんな知らん顔で、一人っきりの社外報作りが始まります。

やまもと
やまもと

こんなの怖すぎる。私の文章は本当に大丈夫なのだろうか…

そんな不安を抱えながら過ごしていたある日のこと。地元情報を発信しているフリーペーパーがポストに投函されました。デザインもステキだし内容も楽しいので、愛読していたフリーペーパーです。

何気なく読んでいると、ひとつの記事がふと目に入りました。「ライター・エディター養成講座の受講生募集」という見出し。ここで、押しつぶされそうな文章への不安と、かつてのやりたいこと探しの欲が一気に噴き出しました。

どうやら、フリーペーパーを発行しているグループ会社が運営しているらしい。これはやるしかない!絶対に! と使命感に燃えながら、主人に相談することにしました。

いざ! ライター・エディター養成講座 へ

主人
主人

またいつもの癖が始まった!

開口一番の主人の言葉です。やりたいこと探しのために、いろいろと手を出しては結局ものにならなかったことを知っている主人。強く反対しますが、私もただでは引き下がりません!

  • 大手のフリーペーパー専属社が運営する講座
  • ほかの有名講座と比べても非常にリーズナブル
  • 講座は隔週土曜日だから負担は少ない
  • 何より文章に対する不安を払しょくしたい

講座に通いたい理由とメリットを説明し、熱烈にやる気をアピール! 説得の甲斐あってOKをもらい、すぐに申し込みました。編集者・ライターへの扉が開かれた瞬間です。

800文字が辛すぎる!課題に翻弄される日々

ライター・エディター養成講座では、隔週土曜に2時間の講義を受けます。ベーシックコースは6カ月、アドバンスコースは6カ月のトータル1年のコースです。

残念ながら、2020年3月をもって閉講してしまいました……

講座を取り仕切るのは、過去に20数年間の編集長経験を持つ女性です。歯に衣着せぬ物言いで、淡々と進む講義はとにかく刺激的でした。

文章表現の基礎やターゲットによる書き分け、資料からの書き起こしなど、編集者・ライターとなるための知識がギッシリ。取材や写真撮影などの際も、その分野の専門家を招いて濃密な講義が行われました。

講義中に何度も言われたのが「読者のことを考えなさい」ということ。初めての講義で、「今週心が動いたこと」を800字でまとめなさいという課題が出ました。

一生懸命考えて、当時小学1年生だった長男のエピソードを書いて提出。長男がいつもニコニコしているのは、「みんなも笑顔だとうれしいから」と言われ驚いたことが、テーマにピッタリだと思ったのです。長男の健やかな成長を喜ぶ母親の心情を丁寧に書き上げました。

長いような短いような800字。当時の私にはとてもキツイものでした。文字数が足りず、付け足してはまた書き直すの繰り返しです。一週間みっちり時間をかけて書き上げた文章には、赤い文字でひと言だけ記されていました。

「読者へ伝えたい情報は何ですか?」

あまりの衝撃に血の気がサーっと引いたのを覚えています。周りの人のプリントをチラッと見ると、いろいろな箇所に赤字が入っている様子。「私には赤字すら入らないのか…」と落ち込み、ちょっとばかりの自信も粉々に砕け散ります。

しかし、「読者のことを考える」という鉄則は、初回で心にしっかりと植え付けられました。その後も一週間に1本出される課題に悪戦苦闘し続けます。

1本の仕事が運命を変えた

1年の講座期間が終わろうとしていたある日、事務局からメールが来ました。某ビジネス誌に掲載する記事のリライト者募集。歴代の受講生も参加してきたらしく、迷わずに立候補しました。

JISマークか何かの紹介記事で内容がとても硬い。なじみのない文章に手こずりながらも、プロによる赤字戻しや修正作業を楽しんでいました。雑誌に掲載された記事を見たときには、妙に誇らしく思ったものです。

月日は流れて、講座修了前に行われた代表との面談。緊張しながら席に座ると、思いがけない言葉をかけられました。「あなた、前にリライトしたことあるの? あの記事とてもよかったわ」
と言われたのです。

ビックリしていると「今の仕事は辞める気ある? 実はあなたの地元の編集部でライターを募集しているの」 と驚きの言葉が続きます。 今までの課題とリライト記事を高く評価していただいていたらしい……。単純な私は喜んで、すぐに「面接に行かせてください!」と返事をしていました。

フリーペーパーの編集ライターとしてデビュー

面談から数週間後、私は地元の編集部へと出向きました。経歴を伝えながらリライトした記事を見せて、編集長との面接は終了。数日後に「ぜひ来てほしい」との連絡をいただきました。

講座に通うきっかけとなった会社を退職し、編集部と業務委託契約を締結しました。晴れてフリーの編集者・ライターとなったのです!

講座で学んだとはいえ、実践はそんなに簡単なものではありません。最初は小さな枠で80字程度の記事広告を割り振られました。課題で書いてきた文字数よりも少ないのに四苦八苦です。

やまもと
やまもと

えーどうしよう! 全然文字が収まらないよ……

膨大な資料からどの内容を削るべきなのか、どう伝えるべきなのかがわからない……。過去の記事を参考にしてなんとか仕上げ、編集長にOKをもらいました。何時間もかけて、たったの80字。記念すべき初仕事は、スクラップして今でも大切に保管しています。

どんどん経験を積み、ベテランと呼ばれるように

しばらくすると営業さんと取材に出るようになり、少しずつ大きな記事広告を担当するようになりました。 同時に、私の企画案が採用され、取材先のピックアップから撮影まで行う1~2ページの編集記事も任され始めます。

小さい記事はオンラインのフォーマットに文章や写真をはめ込むだけで、あまり手間はかかりません。しかし、記事サイズが大きくなると作業が一気に増えます。

  • レイアウトを書く
  • 文章を書く
  • デザイナーさんにイメージを伝えてゲラ(実際のレイアウト上に画像や文章を落とし込んだもの )を作成してもらう
  • クライアントへ校正出し(クライアントの内容チェック)
  • 校正出しから戻ってきたクライアントの赤字をゲラに反映
  • デザイナーに戻す
  • 上がってきた2校を再びクライアントへ
  • 赤字がなくなれば校了

上記は分業せずに、1人のライターが責任をもって担当。編集もライターも一任されるので、編集部では編集ライターと呼んでいます。

編集部ではフリーペーパーだけでなく、県や市の観光パンフレット作成も請け負っています。順調なことばかりではありませんが、たくさんの経験をさせていただきました。

4年目に入った今ではベテランと呼ばれる段階に入ったようですよ。自分でもビックリ!

未知の領域であるWebライターに挑戦

順調に経験を積んでいた私ですが、編集ライター歴3年を迎えた年に事件が起きました。企業買収です。大幅な事業縮小や配置転換が行われ、業務委託者への仕事の割り振りも減ってしまいました。

今まで請け負っていた小さな記事は、編集長やデスクが対応することに。収入もあっという間に激減しました。しかし、新たな可能性を見つけるチャンスだと思い、興味のあったWebライターに挑戦することにしました。

しかし、どうやって仕事を獲得すればいいかわからない……。しかも、提示できるような実績がありません。

地域情報誌で執筆した記事の著作権は、全部編集部にあったからね

困っていたある日、のんびりTwitterをしていると、「ライター募集」のツイートを発見しました。これは!と思いすぐに詳細を問い合わせて経歴を説明。運よくテストライティングを受けられることになりました。その後面談を受け、見事合格! 晴れてWebライターデビューを果たしました。

ほかにもライターを募集している媒体を見つけては問い合わせ、直営業するようにしています。クラウドソーシングにも登録しましたが、落とされることもあるんですよね。待つよりも動きたい私には、直営業の方が性に合ってるのかも。

紙とWeb、どちらも対応できるライターに

現在は、地域情報誌とWebの両方で活動中です。それぞれ性質が異なるため戸惑うこともあります。しかし、どちらも対応できるのは私の強みのひとつ。どちらも手を抜くつもりはありません。 もっともっと成長して活躍の幅を広げたいと考えています。

ここまで読んでいただいたお礼に、ひとつアドバイスを。ライターに興味を持っている方がいれば、ぜひ挑戦してみましょう。特にWebライターは「未経験OK」の場合もあり、紙媒体より多くの人に可能性があると感じています。

お気に入りのWebサイトやTwitterで「ライター募集」の文字を見つけたら、恐れずチャレンジしてみてください。まったくの未経験でも、クラウドソーシングに登録して活躍されている方もたくさんいらっしゃいます。経験を積めば、編集者となる方も多いようですよ。

どこにでもいるごく普通の主婦だった私でも、編集者・ライターとなることができました。こんな道もあるんだよと、迷っている方の参考になればうれしいです!

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